2023.5.16
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摩擦圧接の解説 ①摩擦圧接はなぜ接合できるのか
弊社は摩擦圧接と電子ビームの受託加工を営んでおります。
恐らくどちらの加工もあまり聞きなじみがないかと思いますが、是非知っていただいて、色々な製品に採用していただけるよう、分かりやすく解説します。
①摩擦圧接はなぜ接合できるのか
摩擦圧接とは、回転による摩擦熱と2つの金属同士を押し付ける圧力によって、2つの金属を接合する加工方法です。
摩擦圧接では同じ材質同士だけではなく、異材同士も強固な接合が可能ですが、良くお客様になぜくっついているか不思議に思われます。
今回は摩擦圧接で接合されているかを、簡潔にご説明します。
そもそも金属はなぜ固体なのかというと、金属元素同士が結合されているからであり、それを金属結合といいます。金属結合は図のようにお互いが近い距離で、周りの原子と電子を共有し合い、電気的な引力で結合しております。
もし金属同士を強制的に近い距離にできれば、電気的な引力が働いて結合する事が出来ます。もちろん、ただ金属を接触させるだけでは接触面がデコボコしているし、汚れや酸化膜等があり近い距離にはなりません。
そこで摩擦圧接は、回転しながら接触面に摩擦熱を発生させて、さらに圧力をかける事によって、汚れや酸化膜をバリとして排出する事により、接触面を清浄にします。(摩擦工程)
その後回転を止めながら続けて高い圧力をかける事により、拡散(金属原子が移動して隙間が埋まる)が起こり、原子の距離が近くなり、金属同士が結合されます(アップセット工程)
金属結合は原子が違っても成立する為、基本的にはどんな金属でも結合可能となります。但し製品として成立するかは別の問題もある点は注意してください。