2023.6.21
| 最終更新日: 2024.5.23
摩擦圧接の解説 ②摩擦圧接の利点と欠点
弊社は摩擦圧接と電子ビームの受託加工を営んでおります。
恐らくどちらの加工もあまり聞きなじみがないかと思いますが、是非知っていただいて、色々な製品に採用していただけるよう、分かりやすく解説します。
②摩擦圧接の利点と欠点
前回の投稿で摩擦圧接の原理は解説いたしましたが、今回は摩擦圧接は他の接合方法と比べてどのような利点と欠点があるかご説明します。
金属接合には、アーク溶接や抵抗溶接、電子ビーム溶接のような溶融結合と、ろう付やはんだ付のようなろう接、摩擦圧接やガス圧接のような固相接合があります。
どの接合方法にも良い点もあり、不得手な点もあります。
摩擦圧接の利点
1、接合強度が高い
前回の解説より、摩擦圧接は境界面が金属接合しており、又接合している全面が接合面になる為、ほとんどの材料で母材同等の強度があります。
また、溶融結合で無く不純物もバリと共に排出されていまう為、接合部の欠陥が非常に少なく、量産時においても高い接合強度が確保されます。
2、異材接合が容易
溶融結合であれば、2つの材料の金属間化合物が出来る為、材料によって脆くなったり生成されない事もあり、接合出来ない事もあります。
摩擦圧接であれば写真のように2つの材料の化合物は生成されておらず、異材同士でも金属結合される為、接合強度が高い異材接合が可能です。
摩擦圧接の欠点
1、製品の精度
圧接は回転を止めたトルクと高い圧力がかかり、又熱歪も発生する為、チャックやクランプの精度をしっかり出しても、芯ずれや倒れがある程度発生します。
そもそも摩擦圧接加工機は、チャックの部分に高回転しながら高い圧力がかかる機構になっており、ある程度のクリアランスがとってある為、精度が出ない仕組みになっております。
2、製品形状
摩擦圧接加工時に均一に発熱させる為、接合部は均一に発熱さ円形かパイプ形状である必要があります。又高い圧力を垂直方向に受ける為、途中で曲がってたり細くなる形状は出来ません。
ただ、材料によっては接合強度の劣化があったり、異材接合が出来ない組み合わせももちろんありますし、精度や形状も治具や段取りを作りこんでいくと、かなりの精度が出る事もあります。
一般的な金属接合と比較しての傾向と考えてください。